私が「ガレージ・パンクのおすすめ教えて」と言われ、必ず勧めるのは、スワンプ・ラッツソニックス、そして、本日ご紹介するThe Remains(リメインズ)だ。

スワンプ・ラッツはファズ度が高く、ソニックスは凶暴度が高い。
リメインズは圧倒的な演奏力による音圧でその迫力には度肝を抜かれる。

ボストン大学に在学中のインド系アメリカ人、バリー・タシュアン(G,Vo)が、64年夏にロンドンに旅行中、キンクス、ストーンズ、ビートルズのライブを観て自身もバンドを結成することを思いつく。

帰国後、ボストン大学の同じ寮に住んでる友人を誘い、64年9月にリメインズを結成。

猛練習後、11月にカバー曲(キンクス、ストーンズ、チャック・ベリー・ゾンビーズなど)のみの初ライブを行う。

ボストンを拠点に精力的に活動をしていたバンドの噂を聞きつけたエピックと12月に契約。
バンド結成から4ヶ月というとんでもないスピードだ。

65年3月にデビュー・シングル「Talkin’ Bout You」リリース。
地元のラジオ局で3位になるヒット。

その後もシングルを何枚かシングルをリリースするがローカル・ヒット止まりだった。

65年末に、エド・サリバン・ショーに出演。
66年4月にはゴーゴー・フラバルーに出演。
シングルも何枚もリリース。
これだけ噂になってローカル・ヒットも出してるのに、全国区人気になれないのはエピックに問題があるのでは?と不信感を抱くようになり、キャピトルから誘われたこともあり、バンドはニュー・ヨークに移住。

66年5月にキャピトル・スタジオにてデモを作成する。
しかし、残念ながらキャピトルとの契約はボツになる。

66年8月にビートルズ最後の北米ツアーに参加。
リメインズは同じくツアーに参加していたロネッツのバックを務めたり、PAをビートルズに貸したりと大活躍。

高まるリメインズの評価の中、唯一のアルバムがエピックより9月にリリースされる。
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Remains

このアルバム、悪くはないのだがリメインズ本来の迫力ある演奏や楽曲が反映されていない!
それでも「DON’T LOOK BACK」は必聴です!

アルバムリリース後の11月にバンドは解散してしまいます。
(その後、何度か再結成を行っています。)

リメインズ本来の音を聴きたいなら「A Session With The Remains」をおすすめします!

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A Session with the Remains

キャピトルでデモ音源を録音したと先に書きましたが、その時の音源がコレです。

メンバーも「バンド本来の音を残すことが出来た」と語っているように、迫力満点の演奏が聴けます。とにかく演奏上手いです。

タシュアンの弾くギターは当時としてはとても細かく的確だし、歌もミック・ジャガーばりの声でシャウトしていて、顔と反比例してます。

録音時、メンバーも相当な意気込みで取り組んだようで、集中力が切れないように一気に演奏したらしい。

ライブと同じテンションで演奏されているらしく、それをそのままパッケージしたモノラル録音がさらにバンドの凄さを際立たせています。

ガレージ・パンク好きな人や興味のある人にはぜひ聴いてもらいたい一枚です。