プエルトリコの5人組ヘヴィ・サイケ・バンド「BANDOLERO (バンドレロ)」は、1969年に結成して1971年に解散という非常に短い活動期間に1枚のみアルバムをリリースしています。


Bandolero/Bandolero

1970年にリリースされたBANDOLERO唯一のこのアルバムですが、はっきりいって名盤ですね。
捨て曲なしの11曲が収録されています。

どの曲もアレンジが練られていて、とても聴きやすいのですよ。
辺境バンドって意外と聴きづらかったりして、よほどの度の人でない限りあまりオススメできないのですが、このアルバムは英・米のバンドしか聴かない60’s〜70’sリスナーでもすんなりと聴けます。ほとんどの曲が英語で歌われてるからかもしれません。

演奏能力はかなり高いです。
叩きまくりのドラム&パーカッション、うねりまくりのベース、弾きまくりのギター、ぐわんぐわんいってるオルガン、しわがれ声が気持ちいいボーカル。

1.I Got It
アルバムのオープニングにふさわしいポップなナンバー。
クランチぎみのファズギターが気持ちいい。

2.Ternura
スペイン語で歌ってます。
マイナーコードで6拍子のゆったりした曲調。
グランドファンクレイルロードのハートブレイカーをラテン調にした感じですかね。
つーか、ところどころパクってねーか?気のせいか。

アルバム解説にいってみましょー。

3.Love Me Tonight
爽快感あふれるポップな曲。
中間の展開部分はスペイン語で歌われています。
後半部分で各パートの短いソロが挿入されていて、最後まで飽きない曲構成です。

4.Don’t Hang Me
ポップでヘヴィな曲。
展開部分が6拍子になったりとアレンジ凝ってますね。
この曲も最後まで仕掛けがたくさんあって最後まで飽きないです。

5.I Can Always Think Of You
ちょっぴりドリーミー入ってる、バラードナンバーです。
ヘヴィな曲が続いているので箸休め的な感じですね。

6.Salsa Friquea
ヘヴィ・サルサ・ロックな仕上がりです。
人の心を不安にさせるようなハモンドのイントロに続いて、疾走感あふれるヘヴィな音に入るところなんて鳥肌モンです。
ベースが面白いんですよ。不協和音なコードとかさらっと入れててニクい演出ですねぇ。
個人的にアルバムの中で一番好きな曲です。バンドでカバーしたいなぁ。

7.Together
ヘヴィ・ラテン・ロックな仕上がりです。
サンタナのような悲壮感漂う重い感じはなくて、爽快で明るい重さです。この辺りはお国柄なんですかね。

8.My Life Is Always Going Through Changes
ベースから始まるこの曲は、ちょっぴりジャズテイストな仕上がりです。
オールマンブラザースに演奏してほしくなる感じです。

9.I Want Ot Get There
アルバム中、一番普通の曲です。
3コードのブルースパターンで、ジャムセッション的な感じです。

10.Awake
ベースから始まるヘヴィ・サルサ・ロックです。
この手の曲はパーカッションがキモですね。とても気持ちいいです。

11.Truth An Understanding
最後は8分弱の大作でアルバムラストをかざるにふさわしい曲です。
マイナーでゆったりした曲調から天気が晴れてすがすがしい風景を思い起こすような展開、その後のギターソロは中近東なメロディを聴かせてくれます。曲の最後はハードなラテン調に変化。

というわけでBANDOLERO唯一のアルバム・レビューでした。
サルサやラテンなどのリズムをヘヴィロックに上手に違和感なく取り入れるこの力量はすごいです。
曲展開はもちろん、アルバム全体の流れもよく考えられていて最後まであっという間に聴けます。

1枚しかリリースリリースしなかったのがとても残念。
もしかしたら、1枚目でアイデア出しすぎて燃え尽きちゃったのかもしれませんね。