アメリカ・アリゾナ州のWarren S.Richardson Jr.(ウォーレン・S・リチャードソン・ジュニア)です。

音はクリームやジミヘン影響下にあるヘヴィ・サイケ・ブルースです。

Warren S.Richardson Jr.

バンド名にもなっているWarren S.Richardson Jr.はビル・スプーナーの変名で、今でも現役で活動中です。

彼のHPを見たところ、その活動のスタートはCondello(コンデッロ)という、ポップ・サイケ・バンドです。

コンデッロが1968年にリリースした唯一のアルバムは、ポップ・サイケの裏名盤でかなりのレアアイテムです。再発CDもめったに見かけないですね。

コンデッロ解散後にWarren S.Richardson Jr.(名義)でアルバムを制作。
このアルバムは実質的にビル・スプーナーのソロ・アルバムです。

プロデューサーはコンデッロ時代の盟友マイケル・コンデッロ。
他にも元コンデッロのメンバーが参加してます(サックス)。

で、肝心のこのアルバム。
無茶苦茶かっこいいヘヴィなブルースが主体で、うっすらと浮遊感のあるサイケ風味が加味されてますし、他のブルースロックバンドとはひと味違うヒネリ(アレンジ)を感じます。

全体的にイギリスのブルース・ロック・バンドからの影響が強く感じられます。

というのも、アメリカのバンドってファズの使用率がけっこう高いのですが、このアルバムはアンプで軽く歪ませたギターが縦横無尽に飛び交います。

イギリスのバンドって、アンプでナチュラルに歪ませるギタリストが多いんですよね。

なのでファズがバリバリのヘヴィ・ロックなバンドって圧倒的にアメリカが多いです。

ビル・スプーナーはギターとボーカルですが、ギターはもちろん唄も上手いですね。
ちょっとGFRのマーク・ファナーに似てるかも。

 

その後、ビル・スプーナーはTHE TUBES(チューブス)に参加。

チューブスはロッキーホラーショー的な奇抜なコスチュームや変態チックなライブパフォーマンスなバンドで、1975年にデビュー。

かなり雑多な音楽性を持っており、早すぎたニューウェーブバンドと感じます。

1975年のファーストアルバムは、私も初めて聴いた時「えっ?コレ75年だよな?」とびっくりした記憶があります。

ラストナンバーの「White Punks On Dope」は後にモトリー・クルーがカバー。
75年の時点で「Punks」という単語が出てくるのもびっくりですね。

 

YMOが79年にLAグリークシアターで行ったコンサートはチューブスの前座だったんですよね。

チューブスが来日した時もYMOが前座を勤めました。

その後チューブスはトッド・ラングレンをプロデューサーに迎えたり、テクノに接近したり、正にニューウェーブな音になっていくのですが、85年に一時解散。現在はたまに活動している様子。

ビル・スプーナーはソロを中心に活動中です。
相変わらずヒネたポップな音が気持ちいいです。

この人は一貫して、「人とは違う面白くてトンがったモノを作る」という職人気質なモノを感じます。