黎明期のB級ジャーマン・ハード・ロック・バンドで評価が高いのって、Hairy Chapter(ヘアリー・チャプター)、Night Sun(ナイト・サン)、Black Water Park(ブラック・ウォーター・パーク)辺りでしょうか。
Jeronimo(ジェロニモ)はそんなバンド達に引けを取らないハード&ヘヴィなバンドです。
中心人物はドラムのManfred “Ringo” Funk(リンゴ・ファンク)とベースのGunnar Schafer(ギュンナー・シェイファー)。
この二人は結成から解散まで不動のメンバーです。
ギタリストはアルバム毎に変わってます。
1969年に結成され、同年シングル「Heya / So Nice to Know」でデビュー。続いて「Na-Na-Hey-Hey / The Light Life Needs」をリリース。
この2枚はヨーロッパ各地でもリリースされ、ヒットしたようです。
その後、ステッペン・ウルフと共にドイツ・ツアーを敢行(多分、前座でしょう)。
エッセンで行われたライブでは、ステッペン・ウルフの演奏中にもかかわらず、ジェロニモコールが鳴り止まず、ジョン·ケイは激怒。危うくツアーがキャンセルされるとこだったらしい。
勢いに乗ったジェロニモは1970年に入り、ケルンで行われた「Progressive Pop Festival」に出演。
他にも、ヨーロッパ各地の野外フェスに出演して、喝采を浴びることに。
ディープ・パープルやゴールデン・イヤリングと同等に語られていたというのだから凄い。
そして70年にいよいよファーストアルバム「Cosmic Blues(コズミック・ブルース)」をリリース。
Cosmic Blue
同時にUSロックバンドCCRとのスプリット・アルバム(片面づつの収録)「SPIRIT ORGASZMUS」もリリース。
コズミック・ブルースには、オリジナリティ溢れるヘヴィ・ブルース・ロックな曲が多数収録されていて、当時のドイツではかなり衝撃的な音だったと思います。
ジェロニモの凄いところは、他のジャーマンハード系のバンドと比べて、曲がわかりやすく、ポップセンスも優れていたことです。
これ、けっこう勇気いると思います。
ひねくれた音を追求することに美意識を求めていたバンドが多い中、ジェロニモは単純にかっこよく、重いサウンドでしかも歌心もあるキャッチーな楽曲。
潔いとおもいますけどね。
実際、今でこそ知名度低いですけど、当時はかなり人気があったようです。
アルバムトップを飾る曲「News」は重いリフと演奏、ハード・ポップな曲で本当にかっこいいです。
1971年にジェロニモはセカンドアルバム「ジェロニモ」をリリースします。
Jeronimo
このアルバムはジャーマンハードの超名盤として人気の高い作品となってます。
ファーストアルバムのゴリゴリ重いリズムとキャッチーな楽曲、全てがパワーアップしてます。
アルバムトップ「Sunday’s Child」は1枚目に続いてポップで重いジェロニモ節が炸裂してます。
1972年にラストアルバム、「Time Ride」をリリース。
Time Ride
前2作と比べると曲の完成度が低い。
残念ですがパワーダウンは否めない内容。
その後、バンドは「Best Of Jeronimo」をリリースして解散。
その後、ドラムのリンゴ・ファンクはAtlantis(1973-1976)で5枚のアルバム、Karthago(1976 – 1978)で2枚のアルバム、Skin(1878-1980)で1枚のアルバムをリリース。
これらのバンドはファンキー・ジャズな響きを持つロックバンドです。
そういえば、ジェロニモはファンキーな曲も意外に多い。
リンゴ・ファンクの音楽性だったのですね。
さらにその後はセッションミュージシャンとして活躍。ボニーMのアルバムにも参加してます。
他のメンバーは知りません。
多分引退したのでは。
時は流れて2002年、ジェロニモの音源はリンゴ・ファンク運営のジェロニモ・ミュージックからリリースされることになり、それに伴いジェロニモは再結成。
精力的に野外フェスに参加して成功している様子。
更に同年2002年にオリジナルアルバム4枚+ジェロニモTシャツ+ジェロニモポスターがセットになった「40 Jahre Jeronimo: 1969 – 2009」もリリース。
なんだか凄いことになってます。(だけど、相変わらずジェロニモのCDは今も入手が難しい)