70年に、アタック〜アンドロメダ〜アトミック・ルースターと渡り歩いたギター職人ジョン・カン(g)が、盟友ポール・ハモンド(dr)、元クオーター・マスのジョン・ガスタフソン(b)、アル・ショウ(vo)の4人でDaemon(デーモン)を結成。
71年にBullet(バレット)と改名するがアメリカに同名のバンドがいたためHard Stuff(ハード・スタッフ)に改名。
その際、ショウは解雇。
72年に1stアルバム「Bulletproof」をリリース。
73年に2ndアルバム「Bolex Dementia」をリリース。
しかし、同年にカンとハモンドが自動車事故に遭う。
特にハモンドは重傷だったため、バンドは惜しくも解散。
これがハード・スタッフの短い全歴史です。
ジョン・カンという人は本当に運がなかったんだなぁ〜。
と思ってしまう。
この人は才能のカタマリみたいな人でとにかく曲作りに長けていた。
「Bulletproof」に収録された曲は、どれも妙ちくりんなリフが満載で、ハードロックの新たな道筋を提唱しているようだ。
実際、私が知る限り、こういったへんてこなアプローチをしてるバンドはキャプテン・ビヨンド位だと思う。
曲単位だとジェイムス・ギャングのFunk#49も同じ路線か。
ハード・スタッフはより凶暴で図太い音。ある意味、不器用な感じ。
しかし2ndアルバム「Bolex Dementia」になると、ファンキーでポップな感じになり、物足りない。
カンが「こんなリフ作ったよ」って弾いて、ハモンドが「面白い」って悪のりして余計にリズムを複雑化して、冷静なガスタフソンが「しょーがねーなー」って、やはり面白がって曲の土台をしっかりとさせてるように感じる。
と、私は勝手に妄想を楽しんでいる。
才能を具象化させるだけの演奏テクニックを3人は持ち合わせていたと思う。
それだけにバンドの活動停止は惜しい。
あと2枚は作って欲しかった。
さて、ハードスタッフは2度の改名を行ったワケだが、デーモン、バレット時代の音源が最近リリースされたのですよ。
これ、「Daemon/Entrance to Hell」としてもリリースされてますが中身は一緒です。
バレット名義の「Entrance to Hell」の内容は17曲入りで未発表曲やらシングルの曲が収録されてます。
しかし私の耳には「Bulletproof」収録の曲と全く同じ録音に聴こえる。
未収録曲もアタックやアンドロメダに入ってる未発表曲と全く同じ録音に聴こえる。
恐らく音源の持ち主のジョン・カンもどのバンドでの演奏か記憶が曖昧なのでしょう。
「Bulletproof」を買うより、「Entrance to Hell」を買った方がいいと思います。
なんせ、「Bulletproof」最後に収録された曲「The Provider」は、ジャムセッション的な曲なのですが、その全貌を聴くことが出来ますから。