60年代末のブラジルで起こった芸術ムーブメント、「トロピカリズモ(トロピカリア)」のど真ん中にいたバンド、Os Mutantes(ムタンチス)が68年にリリースしたファースト・アルバムです。
トロピカリズモについて話すと長くなるので軽く説明しますと、既存の保守的なブラジル音楽に対して欧米の新しい音楽を積極的に取り込んで新しいものを作ろうとする流れで、保守対革新みたいな構図もありました。
そんな激動の時代にリリースしたのが本アルバムです。
ビートルズのサージェント・ペパーズからの影響がかなり大きく感じられますが、世界各地のビートルズ・チルドレン達とは一線を画す内容です。
とにかく、おもちゃ箱をひっくり返したような実験的なサイケ・サウンドです。
なぜブラジルのロックバンドはこんなにアクが強いのだろうか。
私の大好きなModulo 1000もぶっ飛んでますが、ムタンチスも相当イカレてます。
初めて聴いた時は軽いめまいを覚えました。
ですが、クセになるんですよ。
理解し難いのにやたらとポップです。
ボーカルのRita Leeの声質によるところがかなりデカイと思います。
この人の声、素敵です
ブラジル・ロックの闇は深い。