60年代末から70年代中期にかけては世界的にハードロック系のバンドが多数排出されました。
ドイツに於いても無論、ハードロック系のバンドは多数存在したのですが、他国とはちょっと事情が違います。
所謂、ハードロック。
つまり一聴してハードロックとわかるバンドは意外と少ないです。
ハードロック的手法を取り入れたバンドは沢山いるのですが、王道のハードロックバンドは少ないです。
あのスコーピオンズでさえ、初期は純粋なハードロックバンドとは言えないと思います。
そんな中、NIGHT SUN(ナイト・サン)が72年にリリースした唯一のアルバム、MOURNIN’(モーニン)は、ジャーマン・ハードロックのアルバムとしては 1、2を争う程の名盤です。
プロデューサーはコニー・プランク。
コニー・プランクはクラフトワーク、グル・グル、アシュラ・テンプル、スコーピオンズ、ディーボ、デヴィッド・ボウイなどを手がけた敏腕プロデューサー。
彼が目を着けたんだからナイト・サンはかなり期待されていたのだと思うのだが、人気は全く無く、アルバムも全く売れなかったらしい。
この記事を書くにあたって私が所有している本CD(日本盤)のライナーを読んでみたが詳しくは書かれていなかった。
とにかく資料不足で、本国ドイツでも「ナイト・サンの経歴は大きな謎に包まれている」という認識らしい。
とりあえず、判っているのは「マンハイム周辺のバンド」といったことくらい。
他には、バンド解散後にブルーノ・シャーブ(ベース&ボーカル)がグル・グルに加入。クント・ロスラー(オルガン)がジャズ・ロックバンドカメレオンに加入。といった程度。
まぁ、とりあえず音を聴け!それで全てが判る!
と、言いたいとこだがこのアルバム現在、絶賛廃盤中で入手困難。
もったいないねぇ。
こんなカッコいいバンドが世に認識されていないなんて。
とにかく不運のバンドとしか言いようがない。
前置きが長くなりましたが、音のレビューといきましょう。
ディープ・パープル+ブラック・サバスといった感じです。
かなりハイテンションの演奏が延々と続きます。
アレンジもかなり凝っていて、演奏能力も高いです。
一部、ボーカルが弱いなんて評価がありますが、そんなことないだろ。
ベース弾きながらこんだけ歌えたらすごいぞ。
ギタリストのワルター・キルヒガスナーの実力はずば抜けてます。
ジャーマンハード系で人気・実力ナンバーワンといえば、マイケル・シェンカーかと思いますが、全くヒケをとってません。同等です。
この人、このアルバムでシーンから名前が消えてしまったのですが、もったいないですね。
こんだけ上手くてリフ・メイカーなら、世界でも通用したでしょうに。
アルバム1曲目「Plastic Shotgun」からいきなりテンション高くて、「うぉー!!」っとなるのですがこれがアルバム最後まで続くという嬉しい悲鳴。
オリジナル性が高く、演奏も充実している。
このアルバムは世界水準でもかなりレベルの高い作品といえるのでは。
ちなみに70年代初期の王道ジャーマンハード系バンドは他にも、ヘアリー・チャプター、ブラック・ウォーター・パーク、ジェロニモなどが個性的でかっこいいのでオススメです。