SWAMP RATS(スワンプ・ラッツ)は米・ピッツバーグ出身のFantastic Dee-Jays(ファンタスティック・ディー・ジェイズ)を母体とするバンドである。
ファンタスティック・ディー・ジェイズは1965年頃活動していた地元の大学生による3人組で、4枚のシングルと1枚のアルバムを発表するなどけっこう精力的に活動していた様子。
ストーンズのピッツバーグ公演の前座を務めたくらいだから、将来の有望株だったのだろう。
メンバーのルックスも優等生的でお坊ちゃまみたいな感じで、音もThe Byrdsのようなフォークロックスタイルで、とてもポップで素晴らしいものがある。
バンド名からしてと夢見るお坊ちゃま的だ。
が、どこでどう、やさぐれてしまったのか、1966年に結成したスワンプ・ラッツはそれまでとは正反対のバンドに変身。
バンド名からして「泥ねずみ」だし。
音は泥ねずみというより「糞ねずみ」って感じだ。
恐らくTHE SONICS(ザ・ソニックス)を聴いて凶暴化したのだろう。
というのも、スワンプ・ラッツは66年にソニックスの「Psycho(サイコ)」を録音しているし、そのちょっと前に録音した「Louie Louie(ルイ・ルイ)」は、どう聴いてもソニックスのバージョンを参考にしている。
当時スワンプ・ラッツは5枚のシングルを発売しているが、67年の4枚目のシングル「No Friend Of Mine(B面はIt’s Not Easy)」はオリジナルナンバーで、これもミドルテンポの強力なファズ・チューンだ。
オリジナルナンバーを演奏したかったメンバーとそうでないメンバーの間でイザコザがあったり、あまりにもやかましすぎるのでレコード会社と折り合いが悪くなったりで、バンドはあえなく解散。
時代を考えると、とにかく糞やかましいスワンプ・ラッツだが、私的にはやはりギターの音が魅力だ。ファズは一体何を使用していたのだろうか。数少ない写真を見るとアンプはどうやらVOXを使用していたようだ。
ルイ・ルイは日本ではブルー・コメッツがカバーしていたが、キングスメンのバージョン(原曲)に近い。
日本が誇るR&Bシンガー、「ルイ・高橋氏」のルイはルイ・ルイから由来してるのか!?
66年の日本でもしもスワンプ・ラッツのルイ・ルイが発売されていたらどうなっていたのか。
色々と想像が膨らむ、今日この頃なのであった。