サイケデリック時代のモップスについてです。
ニューロック期のモップスも併せてお読み下さい。

もともとはアニマルズなどのR&Bを演奏していたバンドだったが、グループサウンズ全盛時代ということもあり、事務所(ホリプロ)の意向からサイケデリック・サウンドでデビューすることになる。

サイケデリックは当時の新しい文化で、バンドメンバーの感覚とも合っていたこともあり、この路線で売り出すことになる。

1967年11月にデビューシングル「朝まで待てない/ブラインド・バード」を発売、翌68年3月に2枚目のシングル、「ベラよ急げ/消えない想い」をリリースし、4月にはファーストアルバム「サイケデリック・サウンド・イン・ジャパン」を発売、8月には3枚目のシングル「お前のすべてを/熱くなれない」を発売。

個人的な余談になりますが、「朝まで待てない」を私が初めて聴いたとき、他のGSバンドと比べて音がキレイで演奏も比べ物にならない程上手かったので「モップスってスゲーなー」と思っていたのだが、実はコレ、70年代のモップスが再録したバージョン違いだったのでした。

なので初めてファーストアルバムを聴いたとき、「あれ?音が違うし演奏も違う」とその落差にビックリしましたが、演奏の荒さとサイケデリック感覚がたまらなくカッコよくて、すぐにトリコになりました。

話を戻します。

3枚のシングルと1枚のアルバム。これがビクター時代のモップスが発表した公式音源だ。本当はセカンドアルバムをリリースする予定(1968年)だったのだが、レコード会社とモップスの選曲にあまりにも隔たりがあり、R&Bを演りたかったモップスは、頑なに譲らずビクターに解雇を言い渡される。ビクターに言われたモンキーズなんかやりたくなかったのだろう。現代の耳で聴くとモンキーズはとても良いと思うが、当時のトンガッてる人種には受け入れることはできなかったのだろうと思う。

「サイケデリック・サウンド・イン・ジャパン」は名盤だ。「アイ・アム・ジャスト・ア・モップス」というメンバー唯一のオリジナル曲は、無茶苦茶かっこいいガレージパンク・ナンバー。

ちなみにこの曲は米ライノからリリースされたガレージパンクのコンピ盤Nuggets(ナゲッツ)に収録されている。アニマルズのカバー曲「孤独の叫び」は、私的には原曲を超えていると思っていて、グランド・ファンク・レイルロード・バージョンと同じくらい気に入ってる。このアルバムには3枚目のシングル「お前のすべてを/熱くなれない」は収録されていない。この2曲のサイケデリック・ナンバーはイッちゃってる。ファズがビンビンに唸ってるし。当時のGSバンドが発売した曲のほとんどが、売れ線狙いのチャラい曲しかリリースを許されなかった状況を考えると驚異的だ。よくこんなアバンギャルドな曲を発売できたと思う。ドサクサに出してしまったのだろうか。このシングルはアルバムには収録されていないが、現在はCD化に伴いビクター時代の音源は1曲を除き全て聴ける。1曲を除きね。。。

そうなんです。

その1曲がガレージサイケのキラーチューン「ブラインド・バード」なんです。

「めくら」という歌詞が差別用語でNGらしいのだが、そういうのを逆差別って言うんだよ。

これについては沢山書きたいことがあるのだが、趣旨が変わるのでやめときます。

現在この曲を聴きたいと思ったら海外の音源を探すという方法があります。モップスは海外のガレージパンク・マニアから物凄い評価が高いからね。

海外モノで収録されているアルバムを紹介すると、例えば「シェリルのサイケデリック世界一周」というガレージパンクのコンピ物。

コイツのアジア編に収録されてます。このアルバムは最高!
他にも香港、トルコ、カンボジアなどなどのアジアの60年代のガレージパンク・バンドの曲が収録されていて捨て曲なしの一品!キャプテン・トリップ・レコードから日本盤がリリースされていて、ちょっとした解説も載っています。ただ、最近はあまり見かけなくなったので、中古で見かけたときは迷わず購入することをオススメします。

次に、こちらはイタリアのPLANET Xというレーベルから発売された「MONSTER A GO GO」という日本のGSだけを収録したアルバムです。
ビーバーズやボルテイジ、ゴールデン・カップスなどの曲が収録されていて、モップスは「ブラインド・バード」と「孤独の叫び」の2曲が収録されています。

他にも、アメリカのMOXIEレーベルからリリースされている、ガレージパンクのコンピ盤「BOULDERS 7」に、「Please Kill Me」という曲名で収録されています。

私が知る限りでは以上の3枚の海外コンピ盤位ですが、もしかしたらまだあるかもしれませんね。なんぜ海外のガレージパンクのコンピ盤は奥が深いので。。。

モップスは69年に東芝レコードに移籍し、第一弾シングル「眠り給えイエス/週末の喪章」をリリースしましたが、なんか壮大な曲といいますか、私的にはあまり好みではないです。すみません。

追記:
2014年が解散40年のメモリアルイヤーということでモップスの全アルバムが再発されました!
各タイトル星勝自身による解説、初CD化を含むボーナストラック多数収録、EMI時代のモップスの音源をすべて網羅という素晴らしい内容。
ということで、ファーストアルバム「サイケデリック・サウンド・イン・ジャパン」に、なんと「ブラインド・バード」が収録されています!これはめでたい!


サイケデリック・サウンド・イン・ジャパン